1947年10月26日は、北方謙三さんの誕生日。
小説家として、長年活躍されています。
北方謙三作品との出会い
私はもともと、あまり本を読むほうではありませんでした。
漫画もたいして読んできませんでしたし、小説はもっと少なかったですね。
ファンタジー関連の資料や画集なんかのほうが購入頻度は高かったと思います。
あるとき、ふと『三国志』に一度きちんと触れておきたいな~と思い、本屋に立ち寄ったときのこと。
漫画のほうが理解しやすいかなあと安直に考え、漫画コーナーに向かいました。
一番最初に眼に触れたのは横山光輝さんの『三国志』。定番ですよね。
定番ということは知っていますが、きちんと読んだことはありません。
ちなみにこの時点での私の『三国志』の知識といえば、豪華声優陣によって演じられた『CDドラマコレクションズ 三國志』が最たるもの。
サウンドドラマですから、声、効果音、音楽で表現されており、ビジュアル的なものは想像するのみです。
それでも、非常に質の高いドラマだったと思います。
諸葛亮孔明を、私が一番好きな塩沢兼人さんが演じていたことが、聴くきっかけとなりました。
話を戻しましょう。
かくして、本屋で漫画『三国志』を確認した私は、横山光輝さんの作品が全60巻ということを知り、ちょっと尻ごみします。
読みたいことは読みたいのですが、金銭的にも、置き場所的にも、ちょっとなあ。
古本屋にあったら、まずいくらくらいで全巻が揃えられるかを検討しよう、と思い至ります。
で、古本屋へ。
あまり立ち寄らないので、どこにあるのかわかりません。
棚を見てまわっているうちに、小説コーナーに行きあたりました。
本当に、たまたまでした。
そこでもちょっと考えはしましたが、冒頭から好み展開だったので、買ってみることにしました。
中古本が売れても、作家にとっては喜ばしいことではないと思うので心苦しいところもありますが、出会いはそんなものだと割り切りましょう。
画集などの資料ばかり買っていた私が、とにかく小説を読む気になったのです。
しかもいきなりの大長篇。
全13巻の北方版『三国志』ですが、気づくとすべて読んでしまっていました。
面白かったです。
登場人物たちは、先に馴染んでいたサウンドドラマの担当声優の声で喋っているところが想像できましたし、入りこみやすかったのだとも思います。
そこから触れることになった多彩な作品
その後、北方さんの作品を続けて読みました。
中国史では『水滸伝』シリーズ、日本史では平安時代、南北朝時代、江戸時代、幕末、現代ものでハードボイルドに分類される短篇、長篇の数々。
読むうちに、すごい作品数だな、と気づきます。
どの作品だったか忘れましたが、巻末でほかの作家さんが解説されているなかで「筆の早い作家はいるが、短距離走の全力疾走でフルマラソンを走り切るのは北方さんだけ」といった旨のことを書かれていて、妙に納得した覚えがあります。
「月間・北方」とあだ名されるほどの執筆量だったとかで、中国史の長篇を書きながら現代ハードボイルドの短篇を同時進行で書いていたりもしたそうです。
成し得るには、相当な体力が必要だと思います。
しかしご本人は、しょっちゅう夜の街で飲んでいる姿を見られていたり、ほかの作家の方からも「一体いつ書いているんだろう」と疑問に思われるほどだったとか。
過去との再会
そんな北方さんの作品リストを、ネットで眺めているときでした。
なんと過去には児童書も執筆されており、そこにあったタイトルを眼にしたとき、さっと鳥肌が立ちました。
『シロは死なない』
それは、私が幼少期に買い与えてもらっていた月刊誌で、読んだことのある作品だったのです。
挿絵の少年や、シロという子犬の外見も覚えていました。
知らぬうちに、北方謙三さんの作品を読んでいたということがわかり、探しました。
古い本のため新品は手に入らず、古本で探します。
そして昨年、古本通販の「出品者がいればメール通知が入る」サービスを利用し、探しはじめて数年越しに入手することができました。
手にしたときは、古い友人に会ったような気分でしたね。
しかもこの作品、掲載されていたのが月刊誌だったためなのか、私は結末を知らないままだったのです。
入手できたことで、幼いころの未完の物語が、ここにようやく完結しました。
波紋の広がり
北方版『三国志』に触れたことがきっかけで、私が長年取り組んでいた創作にも、変化がありました。
当初から「ロールプレイングゲーム」として展開する想定で進めていた作品がありました。
『夜明けの続唱歌』
時代の流れや対象者を狭めず、今後どのようなかたちで展開すべきなのか、を考えているときに出会った作品が、北方版『三国志』だったのです。
ゲームは、時代とともに遊べる環境が変わっていきます。
ゲーム機やパソコン上などで、ゲームが起動できなくなれば、それまでです。
旧作も、よほどの話題性がなければ掘り返されはせず、忘れ去られるのみです。
しかも、どんなに大作に仕上がったとしても「ロールプレイングゲーム」のプレイヤーは、かぎられています。
「小説を書いてみよう」という考えは学生のころにもありましたので、このときがはじめてだったわけではありません。
しかし、大長編である『三国志』(全13巻)や『水滸伝』(全19巻)、『楊令伝』(全15巻)や『岳飛伝』(全17巻)の存在があったからこそ、より明確に「やってみよう」と決めることができたのだとも思います。
幼少期の『シロは死なない』にはじまり、私の歩く道に影響を与えた北方謙三さん。
その誕生日を、ここでお祝いしたいと思います。
70歳を越えてもなお、長篇を書き続けているのは恐れ入ります。
これからも、新たな作品を生み出し続けていってほしいです。
それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)