『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の主人公の一人、トルネコを描きました。
今回はこのトルネコがなぜ人気キャラクターとして伸びていったのか考察します。
「『商人トルネコ』がもつキャラの魅力とは?」についてのお話。
- 誕生:ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(1990年発売)
- 主役:トルネコの大冒険 不思議のダンジョン(1993年発売)
- 考察:トルネコが人気を得たのは?
- 理由:抱く「夢」が未来を掴む
- 結論:諦めるまで「夢」は終わらない
- まとめ:【考察】『商人トルネコ』がもつキャラの魅力とは?【夢を力に】
誕生:ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(1990年発売)
私がはじめてプレイしたRPG(ロールプレイングゲーム)は、1990年2月11日に発売された『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』でした。
章仕立てのストーリーで、鳥山明先生の描く魅力的なキャラクターが各章の主人公になる群像劇形式で進みます。
そして最終章では主人公のなかの主人公である「勇者」のもとに、導かれし者たちが集う、という内容でした。
シナリオ、音楽、キャラクター、そのどれもが魅力的な作品です。
「勇者」は男女の性別も選択でき、名前も好きにつけることができます。
ところが、ほかの章の主人公たちは、名前も性別も固定です。
前作である『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』では、仲間の名前も職業も自由に選択できたことを踏まえると、開発時は大きな決断が必要だったのではないかと想像します。
私は『ドラゴンクエストIV』が最初のRPGだったので、プレイ当時は前作の内容も詳しくは知りませんでしたが「前作でできていたことができなくなった!」と不満を感じるプレイヤーが出てくることは、おそらく予想していたことだと思います。
しかし、この名前も職業も固定された主人公のうち、三章の「武器屋トルネコ」は、その後、その外見からは予想もしない「人気キャラクター」に昇華します。
主役:トルネコの大冒険 不思議のダンジョン(1993年発売)
私自身、いつごろ描いたのかはっきりと覚えていない、アナログ画があります。
模写し、色鉛筆で着色した一枚です。
『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』は、1993年9月19日にスーパーファミコン用として発売されたダンジョン探索型RPG。
ローグライクとも呼ばれるジャンルで、トルネコが主人公の作品もシリーズ化し、主人公を変えた『不思議のダンジョン』シリーズとしても、その後人気のシリーズとなりました。
それまではパソコンユーザーの間での人気に留まっていたというローグライクですが、このトルネコというキャラクターが『ドラゴンクエスト』の看板を背負いつつ、このジャンルの火つけ役としてひと役買ったことは、間違いないことだと思います。
私は当時(おそらく発売からしばらく経ってから)そんなトルネコが描かれたゲームソフトのパッケージを模写していました。
家にあった限られた種類の色鉛筆を使って、どうにか塗っています。
『ドラゴンクエストIV』からRPGに触れた私としては、後日譚として発表されたこの『トルネコの大冒険』に、胸を踊らせたことがうかがえます。
私の模写はいまひとつですが、冒険心を掻き立てられるパッケージイラストだったと思います。
それから20年あまりが過ぎたいま、また改めてトルネコを描きました。
考察:トルネコが人気を得たのは?
なぜかふと描きたくなったのですが、改めて「なぜこのキャラクターが人気になったのだろう?」と思いました。
見るからにイケメンではありませんよね。
それどころか、腹の出たおじさんです。
鳥山明先生の「太っちょキャラ」は可愛く描かれているので、愛嬌はたっぷり。
しかし外見だけで判断すれば「脇役」でしょう。
物語開始の時点ですでに妻子もおり、辺境の田舎町で平穏に暮らしています。
職業は『ドラゴンクエストIV』では「武器屋トルネコ」で、いわゆる「商人」です。
人気がないわけではありませんが、勇者や戦士、魔法使いなどと比べると、やはり地味な印象。
全員が集う最終章でも「馬車待機」を続けることの多いキャラクターです。
では、システム的に相性がよかった『不思議のダンジョン』の主人公に抜擢されたことで、その結果として人気キャラクターになったのでしょうか?
もちろんそのことも、認知度をあげる要因になったと思います。
しかし、トルネコは『ドラゴンクエストIV』の時点で、すでにある種の人気がありました。
まず「レベルを上げてモンスターを倒し、物語を進めていく」という従来のRPGのシナリオではなく「お金を稼ぐ」「夢へ向かう」という目的が全面に出ていたことが挙げられます。
そしてシステム面だけではなく、キャラクター自身にも際立った「個性」がありました。
トルネコは商人ですから、一人で荒野を征くのはこころもとありません。
危険な場所に赴く場合は、傭兵を雇うことも選択肢のひとつです。
また、戦争をしようとしている城では、装備品の納品を求められます。
洞窟を越えて先に進むためには、トンネル開通工事を援助するための資金が必要となります。
などなど、シナリオ面での「商人らしさ」が活き活きと描かれていました。
それらが楽しくて、いつまでも三章に留まり、モンスターの落とす「はがねのつるぎ」を収集するようなプレイヤーも少なくなかったようです。
トルネコ固有の特徴としては、アイテムの鑑定ができるという「商人らしさ」以外にも、戦闘中に転んで敵にダメージを与えたり、モンスター同士が闘うカジノの闘技場で、賭けているモンスターがピンチになると乱入し、相手の口を塞いで呪文を封じたりするユニークさをもっています。
これらも「太っちょの商人」というキャラクターの地味さを、特色づけによって魅力アップさせるために考えられた、工夫のひとつだったのかもしれません。
理由:抱く「夢」が未来を掴む
トルネコには『ドラゴンクエストIV』で、明確な「夢」があります。
レイクナバという田舎で、雇われの身で武器屋を続けながら「世界一の商人」になることを、ずっと思い描いているのです。
- 繰り返しの日々に思い悩んだ末、妻子の理解を得て、ついにトルネコは旅立ちます。年齢なんて関係ありません。
- 戦闘が得意なわけではないのに、一人旅です。
- 回復魔法は使えませんので、フィールド上では同業者「旅の商人」に出会い、やくそうなどを補給したりします。情報交換もしたことでしょう。
- 打たれ強くはなりましたが、危険な洞窟深く潜るためには、用心棒を雇います。
- 数々の困難が立ち塞がりますが、それらを乗り越えることは「夢」の実現へ向けての手段でしかありませんでした。
『ドラゴンクエストIV』第三章 武器屋トルネコ。
そこには「夢に向かって道を切り拓いていく姿」が描かれているのです。
そしてその「世界一の商人になりたい」という「大きな夢」があったからこそ、トルネコは『不思議のダンジョン』の主役に抜擢されることになったわけですから、よく言われるような「夢をもつことが未来を掴むきっかけになる」というのは、なにも現実世界の人間に限ったことではなく、こうした作品のキャラクターにも同じことがいえるのかもしれません。
上記の1~5の展開は、逆に現実へと置き換えることもできます。
- 年齢を重ねていても、周囲や家族の理解を得たり、挑戦することができる。
- 最初は一人きり。苦手なことでも、不安でも、自分だけで解決するしかない。
- 自分にできないことがあっても、できる方法・手段を選ぶことができる。
- その道の同業者や先輩と情報交換をしたり、補い合うことで成長ができる。
- 困難があっても「目的」のための「手段」であることを忘れない(「手段」で失敗しても「目的」を達成する手段はひとつだけではないので、何度でも挑戦できる)
これらは、多くの「夢追い人」が、あてはまることだと思います。
結論:諦めるまで「夢」は終わらない
『不思議のダンジョン』では、どんなにダンジョン深く潜って経験を積んでも、力尽きれば外に放り出され、トルネコの積みあげた経験値も、手に入れたアイテムもお金も、すべてゼロになります。
さらに、再び足を踏み入れても、不思議のダンジョンは訪れるたびにその構造が変わります。
たとえば一時間潜っていても、力尽きればゼロ。なんとも過酷です。
現実でも、起業など、なにか大きな挑戦に失敗すれば起こり得ることですね。
ですが、本当にすべてがゼロになっているでしょうか?
二度、三度とダンジョンに潜るうちに、プレイヤーは【リセットされていないもの】に気づきます。
すべてを失ったと思っても、残っているものがあるのです。
それが挑んだ者だけが手にする「経験・知識」です。
『不思議のダンジョン』では、それらを積み重ねていくことが、攻略の鍵を握ります。
人生でも、同じことがいえます。
失敗しても「そこで得た経験や知識はすべて自分のもの」なのです。
まとめ:【考察】『商人トルネコ』がもつキャラの魅力とは?【夢を力に】
- 現実にも置き換えられる「夢」へと挑戦する姿。
- 失敗から得た経験と知識を活かして何度でも挑み続ける姿。
- 戦闘が苦手ゆえに生まれたユニークな特徴。
- その「夢」があったからこそ別の作品の主人公にもなれた。
- トルネコの作品には人生の教訓のようなものが凝縮されている。
このあたりが、関係しているように思います。
大きな夢を抱くのは、子供のすることだと思っていませんか?
青臭かろうがなんだろうが、夢を思い描くことはいくつになってもできます。
みなさんの好きなキャラクターは、どんな「夢」に向かって生きているでしょうか?
私もトルネコのように、どんな状況にあっても揺るがない「夢」を抱き続けていたい、と思います。
それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)