航空機の専門知識はないので識者に任せるとして、ちょっと感想を。
沈まぬ太陽
母から借りた長篇小説。
正確には、母の友人から母が借りたものを「読んでみて」と渡されたものです。
まったく内容を知らず、前情報もなしで読みました。
ちょっとした紹介などでも展開が読めたりするので、私は普段小説を読むときも、あらすじは一切読みません。
なので、そういう方針で、今後読む予定がある方はページを閉じたほうがいいかもしれません~。
感想
結構なボリュームでしたね。
主人公は航空会社の社員。
内容はあらゆる場面がきわめて詳細に綴られています。
物語に関わったさまざまな立場、現場、主人公が訪れる海外の僻地の様子など、医師や技師の専門的な視点も含めて、相当に調べあげていないとここまで書けないであろう、という圧倒的な情報量でしたね。
私が時代物やハードボイルドに分類される小説をたくさん読んできたためか
「ここまで細かく描かなくてもいいのでは…」と感じてしまう部分もありました。
「調べたこと、現地取材したことを、なにもかも全部書かないと気が済まないのだろうか」と感じてしまったことも事実です。
しかし「なぜここまで書きこんでいるのか」それには理由がありました。
労働組合の運動が中心である物語前半から、後半は違った展開をするようになります。
前情報も、あらすじも読まない私は最後まで読んでようやく確認しました。
この物語はかつて日本で起きた航空機事故の「実話をもとに書かれたフィクション」だったのです。
フィクションという立場ではあるものの、著者は事故に関わった方たちへの取材をし、口の重い遺族の方にも時間をかけてインタビューをし、資料を読み、そして世界各地に実際に足を運んだのだということ。
そして「二度とこんな事故は起こしてはならない」という強い思いが、ことごとく詳細に綴られた内容の端々から、ひしひしと伝わってきます。
事故のことを伝えるための物語だ、と知らずに読み進めていた私が間違っていました。
「調べあげたことをすべて活かしてこそ」の作品だったわけです。
ものすごい密度の作品でした。
世代的なこともあって、現実には「坂本九さんが亡くなったという事故だな」くらいの認識でしたが、改めて考えさせられました。
余談
まったくの余談ですが、今年の4月末で長年勤めた仕事を辞めた私。
本書は、まだ働いているころに読みはじめて、仕事を辞めてしばらく経ってからようやく読み終わりました。
作中には、職種や規模はまるで違うものの、私の元職場の経営陣や体制とよく似たところがたくさんありました。
権利や利益を優先するあまりに人の心を失えば、人間は狂気の動物。
まさにそうですね。
あのままの経営を続けていれば、遠からずなにか問題を起こすでしょう。
私は、あの職場を辞めて後悔していません。
ちなみに、辞めてからもこんなことがありました。
辞めるときに書面と口頭でお願いしていた書類も、いつまで経っても届かない。
健康上の理由で辞めるので「すぐに取りに来られるかわからないので郵送してほしい」とお願いしていたのですが……。
やむなくこちらから再度出向き、改めて用意した返送用の封筒に切手も貼り、事務員に伝言を頼んで帰りました。
すると翌朝ショートメールで「今日送ります」との返信。
今日送れるような状態で書類が揃っているなら、なぜいつまでも送ってこないんだろう、と思いますよね。
まったく、最後の最後まで世話の焼けることだ……と思っていました。
しかしそこからも、書類は届きません。
同じ市内なので、通常であれば翌日。遅くても中1日で届くはず。
3日経ち、4日経ち、ようやく届きました。
すぐに送れないのならなぜ「今日送ります」と言うんでしょうかね。
もう一人、一緒に辞めたパートさんも書類を頼んでいて困っていたのですが
「今日送ります」と私がメールを貰った次の日に
「書類ができたので取りに来るよう」連絡があったそうです。
面倒くさがって一緒くたに処理をしていたと思うので、つまりはそういうことです。
準備ができていないのに「今日送ります」と私にメールを送ったんでしょう。
書類がようやく揃い、そのパートさんとは「これでようやく縁が切れました~よかったですね~」と言い合っていました。
ところが!
先日「全国健康保険協会」から封書が届きました。
なんだろう、と内容を見てみると
「保険証の返納がなされていません」とのこと。
もう、なんというか愕然としますよね。いつまで経ってもだらしない。
私はとっくに会社に返却してますので、その返却日付を記入して、保険協会宛にポストに投函。そのこちらの手間も、本来なら余計なことです。
なにより、いつまでも縁が切れないことにイラッとします(笑
というわけで、話はすっかり逸れましたが今回はこのへんで。
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)