創作物語の登場人物イラストシリーズ。
『夜明けの続唱歌』より、シャビナ・トゥルシカ。
この人物を通して、歳を重ねた生き方を考えます。
シャビナ・トゥルシカ
簪呂国(カザクロフト)の都のはずれに屋敷を構える老女。
以前描いた絵の、塗りのリテイクを行いました。
こちら↓が以前のもの。
物語は若い世代が主軸となる場合が多いものですが、そこに登場しない世代・性別がいたりしませんか?
もちろん物語に合わなければ、無理をして出す必要はありませんが、無意識に避けているものがあるとすれば、描くことに挑戦してみるべきだ、と私は考えます。
毎回、美男美女が活躍するばかりの物語では、描けないものがあると思うんですよね。
重ねた歳月を描く
特に自分よりも歳を重ねた世代というのは、描くのが難しいと感じるかもしれません。
幼少期から現在までなら経験がありますし、同世代とは学校などで関わりもありますからね。誰かをモデルに描くこともできるかもしれません。
自分よりも歳を重ねた世代を描く場合「知識」や「悟り」のような深みのある人生観をもっているかが、重要になってくると思います。
その人物が歩んできた人生が、顔の皺や表情、性格をかたちづくるように、そこに若者にはない視野が備わっているものではないかと考えるわけです。
そして彼らは「自分の人生で得た学びを若者に伝えたい」と考えるうえで、自然と若い世代と関わっていくようになります。
ほかにも、近づく死とどう向き合っているのか、という点においても、そのキャラクターの人生観や宗教観などが出てくるはずです。
若者よりも残された時間が少ないのですから、死を受け入れるのか、抗うのか、意識がよりはっきりとあるものだと思います。
そう考えていくと、まったく想像できないことではありませんよね。
- 自分よりも若い世代になにを伝えるのか。
- 死についてどう考えているのか。
実はどの世代にも関係のある普遍のテーマだといえます。
強いていうなら、歳を重ねるほどこれらのことについて考える時間も多い、ということになるのかもしれません。
そこでそれぞれが自分なりの考えや答えを得ている。
現実において
現代のように、検索すればなんでも出てくる時代では、知識を蓄えた老人の出番は少なくなる一方なのかもしれません。
しかし、古来より彼らは生きる智恵をもたらすものとして尊重されてきました。
知識や経験をもつ年長者は重宝され、尊重されて然るべきだという社会だったからかもしれませんね。
自分がこの先老いていく未来では、どうなっていくでしょうか。
寿命ばかりが伸びて、ますます老人の居場所はなくなっていくのかもしれません。
そうならないためには、若者にはない視野をもち、そのための経験を重ね続ける必要があるのだと思います。
自分よりも10歳上の年長者に、手本となるような生き方をしている人がいるでしょうか。
そういう人の背中を目標にできれば、若者は生きやすいですよね。
逆に、10歳年下から「目標とされるような生き方ができているか」ということも、考えていくべきだと思います。
さまざまな生き方がありますが、たとえば山にこもって孤独に生きていても、そういう生き方をしたいと考える若者から見れば、貴重な人生の先輩です。
それが社会との関わりなのかなとも思います。
とすれば逆に、口を開けば文句や批判ばかりでなにも生み出さない、誰の目標にもされない生き方をしている人というのは、山ごもりのように「世間と物理的に距離をおいている人」よりも、実は社会との関わりが希薄なのかもしれません。
若い世代に
「こういうときはどうしたらいい?」
「どうやって乗り越えた?」
「どんな対処をした?」
などと質問されたときに、答えられるでしょうか。
他人のやることに対して批判的に生きている人は「実は自分ではやったことがない」という場合が多々あります。
たとえばイラストでも、自分で描かない人ほど、初心者の絵に批判的です。
たとえばギターでも、自分で弾いてみたことのない人ほど、ケチをつけます。
それは「最初は誰でもできない」「やってみると難しい」ということをきちんと知らないからではないかと思います。
なにかやってみてすぐ「自分には才能がない」という言葉に逃げるようなら、注意が必要だと思います。
「才能」というものを、諦めるときの都合のいい理由にしていませんか?
それが結果的に、自分がそうやって放り出したものに挑戦する人に対して、批判的な視点を生んでしまうのなら、こんなに無益なことはないと思います。
たとえば多感な十代なかばから後半。
憧れるのは、10歳上の「活躍する先輩」である場合が少なくありません。
世間が注目していれば、そこが目標になるのです。
現在ならばスマホのゲームやYouTuberなどが、若者に注目されるスターでしょう。
昔から憧れの的となることの多いスポーツ選手やミュージシャンなども、その多くはおよそ10歳年上の活躍を見つめていることが、よくあるのではないかと思います。
誰もがそんな時代の寵児、スターであれ、とは思いません。
とはいえ「誰も到達できないところを目指す」というのは、いつか後進の道標になるはずです。
自分よりも若い世代になにか質問されたときに、蓄積したものがあるかどうか。
そこは歳を重ねていくうえで、頭の隅に置いておいてもいいかな、と思います。
それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)