創作中の物語『夜明けの続唱歌』より。
引き続き2014年の絵になります。
ファンタジー作品にはつきものの「エルフ」「ドワーフ」など「幻想世界の住人」を登場させる場合がありますよね。
どんな存在なのか、きちんと決めてから描いていますか?
今回は「幻想世界の住人にはハッキリと所属を与えよう」についてのお話。
(2014,08,04)石の精獣アレンシビア
「大地の力」を蓄える赤い石を護る精獣。
あらゆる石と共鳴する『石の詩』をうたう。
芯は強いが熱しやすく冷めやすい性質で、ときとして衝動的な行動をとる。
ファンタジー作品において「幻想世界の住人」を登場させる場合、その所属をきちんと決めておくことは重要だと思います。
所属の重要性
たとえば、あらゆるファンタジー作品にたびたび登場する「エルフ」ですが、作品によっては「人種のひとつ」に分類されています。
「人間」というひとくくりの種族のなかに、白人や黒人と呼ばれる人種が存在するように、そこにエルフも加わるパターンです。
尖った耳と弓矢を得意とする「森の民」などとして登場することも少なくないのではないかと思います。
しかしそのパターンとは違い「人間」とは別の種族として描かれる場合もあります。
「精霊」や「妖精」などといった「人間以外」の種族に分類され、より霊的な存在として物語に登場します。
彼らは、きちんと描かれなければ非常に不安定な存在となってしまいます。
「そんなの作者だけが理解していればいいじゃん」という意見もあるのだとは思いますが、それでもやはり、早い段階で決めておくことは重要だと考えます。
なぜなら、そのほかの登場人物が「不安定な存在」をどう認識しているか、という点で、シーンの描き方に違いが出てきてしまうからです。
周囲の認識による違い
たとえば、エルフが「森の民」と認識されているひとつの人種だった場合は、程度の差はあっても「異国の人間」に対する「会話」「文化の違い」「敵対・友好関係」といった描き方が通用します。
しかし、もしも「精霊」や「妖精」といった異種族であった場合は「人間ではない存在」に対する接し方へと、シーンの描き方が変わるはずなのです。
彼らとは「人間として存在している」という根本的な認識ですら共有できません。
それがよくわからない相手となればなおさらで、はじめは警戒しつつコミュニケーションをとるものだと思います。
便利な言葉を安易に使うことによる弊害
特に「精霊」や「妖精」といった言葉は便利ですから、安易に使ってしまいがちです。
所属を決めていなかったばかりに、ひとつの作品内でブレてしまうことも大いにあります。
はじめは「精霊」と呼ばれていたのに、本人は「妖精」と主張し、ほかの登場人物からは「幻獣」と認識されている。物語が進んで実は「神獣」です、と正体を明かす。
読み手もなにがなんだかわからなくなりますが、それ以上に、実際にそれらの存在とコミュニケーションをとる登場人物たちはもっと困ります。
所属をきちんと決めておくのは、そういったことを防ぐためです。
「幻想世界の住人」を作者自身が曖昧に捉えていると、登場人物やその「幻想世界の住人」本人も、曖昧な存在にしかなりません。
曖昧な存在ということは、キャラクターとして際立たない、ということにもなります。
まとめ:【創作】幻想世界の住人にはハッキリと所属を与えよう【どんな存在?】
作中では、謎の存在として曖昧な立ち位置のキャラクターだったとしても、作者だけは「自分の作品のなかでは、この種族はこういう存在!」と明確に決めておきましょう。
登場人物が「相手」を認識するためには、所属が重要になります。
むしろ周囲の人が「幻想世界の住人」を読者に伝える役割を担っているといっても過言ではないでしょう。
作中で細かく語られなくても「幻想世界の住人」の立ち位置(ポジション)を決定づけ、周囲にきちんと認識させることが、より活き活きとしたファンタジー作品を描くうえで、大事になってくるのです。
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それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)