創作中の物語『夜明けの続唱歌』より。
引き続き2014年の絵になります。
「キャラに有効な「遊び」をもたせる方法」についてのお話。
(2014,03,07)メルキ=エリス
平和と正義を司る天使。澄み渡る歌声を持つ。
身に着けている小物、装飾品などから、人物を表現する場合があります。
この人物の場合、首もとに小さな装飾品を着けています。
足もとにも、小さな赤い石のついた履物。
着ているものは柔らかそうな素材で、色合いも派手すぎず、地味すぎず。
髪型も、奇抜なものではありませんね。
そういった外見であれば「大人しそう」「控えめ」といった印象を与えることになります。
それもその人物や職業などのもつ「色」のひとつといえるはずです。
たとえば、暗殺者であれば多分、目立たない服を選びますよね。
舞台に立つ人気の詩人ならば、目立つ衣装を選ぶものです。
そういったある種「定番」ともいえる外見は、手堅いのですが厳守するあまりに作品全体が地味になってしまいがちです。
それを回避するため、私は逸脱しない範囲で遊びをもたせることを心がけています。
このキャラクターの場合は「平和」「正義」を司るという、いささか堅苦しい肩書をもっているのですが、そのままのイメージで描くと、遊びのないキャラクターになるわけですね。
「平和」「正義」。
どんなイメージを思い浮かべますか?
堅物で、融通のきかなそうなキツいイメージの人物でしょうか。
あるいは、弱気を助け悪を討つ、正義のヒーロー像でしょうか。
このメルキ=エリスは、見た感じどちらのイメージともちょっと違うと思います。
そしてあとから肩書を知れば「えっ、そうなの?」と感じるんじゃないでしょうか。
- 「この外見でその肩書なら、きっと芯が強いんだろう」
- 「大人しそうに見えるけど、怒らせたら相当恐いんだろう」
こういった想像をする余地があることが、すなわち「人物に遊びをもたせる」ということです。
ただいたずらにイメージを崩すわけではありません。
たとえば、ファンタジー作品であれば、極端に派手な宝飾の鎧を着た騎士がいても華やかでいいのですが、説得力といった視点で見ると
- 「その鎧でどうやって馬に乗るんだろう」
- 「肩の飾りやブーツの形状が邪魔じゃないんだろうか」
といった具合に、まず機能性の部分などでブレてきてしまう場合もあります。
あまりに逸脱してしまうと、世界観さえ揺らぎかねませんので注意が必要です。
有効な「遊び」をもたせるためには、まず人物が生きているのがどういった世界なのか、ということをきちんと決めておくことが重要だと思います。
たとえば先ほど例に挙げた暗殺者が、全身黒尽くめの衣服に身を包んでいるのにも関わらず、その懐に忍ばせている武器が「黄金に輝く派手な短剣」だったとしたらどうでしょう?
それが世界観から逸脱せず、有効な「遊び」をもたせること成功していれば「この暗殺者には、なにか独特なこだわりや、その短剣を使う特別な理由があるに違いない」と読者は感じるはずです。
このように「定番」や「常識」を逆手に取った「遊び」を、キャラクターに与えて、いろいろと試してみましょう。
読者は「謎」を追います。
そこをうまく描いていくことで、よりキャラクターの魅力は深まっていくはずです。
『オリジナリティを育てる方法』については、こちらの記事も合わせてどうぞ!
『キャラクターの特徴づけ』については、こちらの記事も参考にしてみてください!
『夜明けの続唱歌』については、こちらの記事も合わせてどうぞ!
それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)