創作中の物語『夜明けの続唱歌』より。
引き続き2013年の絵になります。
キャラクターに思いつきで名前をつけていると陥ってしまう事態、についてのお話。
(2013,01,21)ジルチ
情報を売り生計を立てていたが、叛徒として洞窟に囚われている男。
情報屋。路地裏でウロウロしてそうですね。
ジルチという名前は「ゼロ」を意味する英俗語からきています。
名を与えるのは親の使命
キャラクターの名前は、どうやって決めていますか?
「名は体を表す」という言葉があるように、名前はいわば「キャラクターの名刺」のようなものです。
名前と顔、存在や役割が一致していれば「しっくり」感じるでしょう。
当然、語感も大事です。
「意図的に容姿とズレた名前をつけて印象づける」という場合もありますが、大抵は「似合った名前」をつけてあげるべきでしょう。
「名前を与える」というのは、苦しくも、楽しい作業です。
思いつきで決めても、もちろんいいです。
語感が気に入っている、といったような理由でも、愛着が湧くものだと思います。
ただし、登場人物の人数が増えてきた場合は、どうでしょうか。
思いつきだけで与え続ける場合の落とし穴
まずは、パッと思いついた名前を男性・女性でそれぞれ10人くらい書き出してみましょう。
好きな作品の登場人物などではなく、アナタが新規で作る物語の登場人物です。
あまり時間をかけず、ササッと出してみてください。
漢字は使わず、和名なら平仮名、それ以外ならカタカナで書きます。名字はいりません。
書き出しましたか?
私の場合、ファンタジー作品をおもに書いているので、登場人物の名前はカタカナ表記が基本です。
長編なので、登場人物は多いですね。
すでに決まっているだけでもデータベースが必要になる状態の人数ですが、今後執筆を続ければ、そのつど増えていくことになります。
現実なら「同姓同名」ということも、ままあるでしょう。
しかし、同一作品のなかで「同じ名前の人」「似た名前の人」が出てくると、話がややこしくなるだけです。
たとえばこんな具合。
「リアとルリアがリアナとルナの住むリリア村へ遊びに行きました」
こうなると、多くの読者は発狂するでしょう。
これは極端な例ですが、語感だけで決めていくと、陥りやすいパターンです。
先程、思いついた名前を書き出したみたメモを見てみましょう。
名前から、それぞれの人物の顔が思い浮かびますか?
そこに似たような文字、似たような響きの名前がいくつか競合して並んでいませんか?
作品を手に取ったとき、読者は作者ほど登場人物に思い入れがありません。
それはそうですよね。読者はこれから人物に出会い、物語に入っていくところなのです。
名前を決めるときには人物の背景や由来を考える
どういう人物なのか、役割なのか。まずはそういったところから考えます。
生まれた土地、環境、家庭や家業。
どんな端役でも、そこにはその人物の人生があります。
両親や兄弟姉妹、先祖もいます。
感性を頼りに、思いつきで名前をつけることを否定するつもりはありませんが、その場合でも「適当にあつかうこと」と同義であってはならない、と思うのです。
私の場合は、現実の人々の名前に語源や由来があるように、創作の登場人物にも「たどれば意味のある名前」をつけるようにしています。
ラテン語、ドイツ語、フランス語などから引っ張ってきたり、ときにはもっと使用者の少ない言語で思案することもあります。アイヌの言葉なども魅力的です。
言語をそのまま使うばかりではなく、名前用にアレンジすることもありますね。
たとえば今回紹介しているイラストの人物は「ゼロ」由来の『ジルチ』。
この人物は裏社会で生きているため、コードネームのようなものですが、そこにもやはり「その名前にした理由・由来」があります。
名前の由来などは裏設定のようなものです。しかし作品内にてわざわざ紹介・説明することがなくても、この「ある」「なし」の差は、どこかに出てくるものです。
脇役だから、ちょい役だから、と適当に名前をつけていませんか?
それがもし「名づけるところからこだわったキャラクター」であったなら、いい加減にあつかうことはできないはずなのです。
きちんと名づければ、もっと生き生きさせたい、もうちょっと出番を増やしたい、と感じるようになるはずです。
とにかく、まずは名前からこだわっていきましょう。
大切にあつかえば、キャラクターはきっと応えてくれるはずです。
『キャラクターの特徴づけ』については、こちらの記事も参考にしてみてください!
『オリジナリティを育てる方法』については、こちらの記事からどうぞ!
『夜明けの続唱歌』関連の前回の記事はこちらからどうぞ!
『夜明けの続唱歌』については、こちらの記事も合わせてどうぞ!
それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)