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【読書】モモ / 1973年 ミヒャエル・エンデ【感想】

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先日、母親から「読んでみて」と渡されたミヒャエル・エンデ著の『モモ』

著者の名前と題名は知っていましたが、思わぬかたちで出会うことになりました。

というわけで今回は感想を書くことにします。

書評や感想文ではなく、ただ感じたことを記録しておく日記のようなものです。

文中にネタバレを含むかもしれませんのでご注意ください。

 

 

作品概要

モモ』(Momo)は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品。1973年刊。1974年ドイツ児童文学賞を受賞した。各国で翻訳されている。特に日本では根強い人気があり、日本での発行部数は本国ドイツに次ぐ。

1986年西ドイツイタリア制作により映画化された。映画にはエンデ自身が本人役で出演した。

日本では、1987年に女優・歌手の小泉今日子朝日新聞のインタビュー記事で本作の大ファンであることを公言し、話題になった。

(Wikipediaより抜粋)

 

とのことで、児童文学にしては結構な長さだな(約350P)という第一印象。

挿絵なども著者エンデ氏が描いているとのことです。

私が読んだのは岩波書店刊行、大島かおり訳版。

 

本を開く。

 

「児童文学あるある」なのかどうかわかりませんが、地の文が読者へ語りかけるような「です」「ます」なところなど「私の個人的な好みの文体」とは異なるので、若干の苦手意識とともに物語へと入っていきました。

 

 

あらすじ

イタリアローマを思わせるとある街に現れた「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちによって人々から時間が盗まれてしまい、皆の心から余裕が消えてしまう。しかし貧しくとも友人の話に耳を傾け、その人に自信をとりもどさせてくれる不思議な力を持つ少女モモが、冒険のなかで、奪われた時間を取り戻すというストーリー。(Wikipediaより抜粋)

 

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著者が「メルヘン・ロマン」と呼んでいるだけあって、古い円形劇場の跡などがあるヨーロッパの風景と、ファンタジーの世界観が融合して描かれています。

あえて分類するなら、すべてが異世界のハイ・ファンタジーではなく、現実社会に紛れこむロー・ファンタジーということになるのでしょうか。

 

 

登場人物

全員は多いので、絞って数人だけにします。

普段、創作系の記事を書いているので、そういった視点からもちょっとだけ。

 

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モモ

主人公。浮浪児で、着ているものからなにからちぐはぐ。

本人はそれをどこか気に入ってもいて、ただ円形劇場跡に住み着くことの許しを地域住民に願う。

地域住民は親切で、本人が嫌がる警察には届けず、みんなで世話をしよう、という結論に達する。

はじめ住民たちはモモを助けてやるつもりだったが、いつしか「話を聞くこと」に長けているモモに、みんなが頼るようになる。

 

まず「浮浪児」としたことで、物語の舞台となる「社会」には染まらないキャラクターとして、はじめからわかりやすい位置づけとなっていると思います。

髪は櫛を通していないぼさぼさ頭で、服や靴は身体に合っていない拾い物。

歳を訊かれても、まともに数がかぞえられないことがわかります。

このあたりも「一般的によいと認識されている人=常識人」との対比が生んだ姿だな、と感じます。

相手が浮浪児というだけで下に見てしまうというのは、もしかしたら勘違いが招く心の動きかもしれない、といった「多くの読者が抱くであろう先入観を利用した視点」で物語を進めていくわけですね。

はじめから下に見ているけど、いわゆる「常識人」は本当に、この子より優れているのでしょうか、という問いかけのための対比となっていると思います。

 

 

観光ガイドのジジと道路掃除夫のペッポ

ジジは口が達者な夢見る若者。

思い描いた物語を語ることで、みんなを楽しませる。

 

ペッポは極端に口下手な老人。

掃除も丁寧で、一歩一歩、確実で誠実な仕事をする。

 

モモの親友である二人のキャラクター、ジジとペッポ。

ここでもわかりやすく「若者老人正反対な性格の人物」として、対比が表現されていますね。

また、そこに両者の友達としてモモが加わることで「どんな相手にも等しく寛容なこと」が印象づけられているように思います。

モモはつまり、著者エンデ氏が「人はこうあるべきなんじゃないか」という考えを体現しているキャラクターなのだと思います。

 

そして、キャラクターとして彼らが立っているなと感じるのは性格の描写。

ジジにもペッポにも「○○すぎる人物」という印象を与えるには充分なだけの、それぞれの人物像を描くエピソードがありますが、そこにかなりのページ数を割いています。

 

 

その他のキャラクター

「灰色の男」の暗躍によって、次第に「時間を節約」するようになっていく人々。

その取り巻く環境に流されていく「変化」を表現するために、物語前半と中盤では「同一人物の対比」が行われています。

あんなに親切だったのに、仲がよかったのに、楽しく遊んでいたのに、といった具合。

 

前半でそれぞれのキャラクターの性格を念入りに伝えてあるので、中盤では「灰色の男」がもたらした「変化」に対する、読者の不安感や反発心を刺激するのに効果があります。

読者に「こんな変化はよくない!」と感じさせるわけですね。

 

 

感想

「対比」が散りばめられた『善悪二元論』的な話なのかな、と感じる導入部から、各人物の夢のあるエピソード。中盤の「時間節約」を進めることで夢を失っていくエピソード。そして後半の「時間の花」で描くファンタジー展開まで、エンデ氏の世界観がギュッと詰まった一冊になっていました。

 

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ちなみに対比は各章のタイトルにも表れています。

  1. 大きな都会と小さな少女
  2. めずらしい性質とめずらしくもない喧嘩
  3. 暴風雨ごっこと、ほんものの夕立
  4. 無口なおじいさんとおしゃべりな若もの
  5. おおぜいのための物語と、ひとりだけのための物語

第一部だけ抜粋しても、こんな感じです。

 

「時間は貴重だ、無駄にするな!」

「時は金なり、節約せよ!」

 

これは物語に登場する標語です。

中盤から後半に向けて読み進めていると「よくない方向に向かっているな」と感じる部分です。

しかし現実に、現代社会はそういった「余裕のなさ」「他人に対する容赦のなさ」が満ちていませんか、気づいてますか、と今度は「現実との対比」が、読者に突きつけられるわけです。

 

つい「時間がないから」「無駄だから」と切り捨ててしまうことは、多かれ少なかれ、誰にでもあると思います。

でもそのことによって「手に入れたはずの時間」って、本当に活かせているでしょうか。

 

ちょっと話はそれますが、私がときどき感じるのは運転中。

法定速度を大幅に超えたスピードで、無理やりの車線変更を繰り返して追い抜いていく車。そ先の信号待ちで結局追いついて、横に並んだりします。

それに、そんなに急いでたどり着いた先で、帰り着いた家で、結局ダラダラ過ごしてはいないでしょうか。

それ以前に、まず危険なのでそういった運転はやめるべきなんですけどね。

 

話を戻します。

 

本当に「無駄な時間」って、なんでしょう。

そういったことを考えさせる物語でもありますね。

 

「どーでもいい物 素敵な事」

「無駄だらけの そんな君の世界が好き」

(hide /Hi-Ho より抜粋)

 

これは私の好きなhideさんの『Hi-Ho』という楽曲の歌詞なのですが、若かりしころ、この考えに触れられていてよかったな、とときどき思うんですよね。

 

無駄のない人生って、退屈ですよ。

音楽やゲームだって、多くの趣味や娯楽だって、ただ生きていくうえでは不要なものなのかもしれません。

でも、それがなくて生きていけますか?

 

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時間は自分のためにいくら節約しても、自分のものにはならない。

時間を分け与える、あるいは誰かと共有することで、そこにはじめて価値=幸福が生まれる。

それは結局、時間を無駄にしたことにはならないし、そういう時間は「退屈な時間」とはまったく別の「時間」が流れている。

『モモ』は、そんなことを伝えようとしている物語なのかな、と感じました。

 

 

……余談ですが、作中でもちょっと触れられているように「夢中な時間」と「退屈な時間」では、時の流れる速さが違って感じられますよね。

 

「夢中に過ごす時間」の最中は歳をとらない、などといわれることもあります。

実際に、漫画家やクリエイターなどをされている年配の方で「やけに若々しい方」を見かけると、案外その話も本当かもしれないな、と感じます。

 

年齢を言い訳にせず、夢中なものをもち続けていたいですね。

というわけで、私は時間を忘れる『モノ創り』を、これからも変わらず続けていきたいと思います。

 

それでは今回はこのへんで!

最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)

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