「オリジナルの帝国ができた!」
- 皇帝がいて、城がある。
- 賑わう城下町がある。
- 少し離れたところに村がある。
それで特色のある国が描けたといえるでしょうか?
というわけで今回は
「作品に帝国を出すなら知っておきたい:古代ローマ帝国」についてのお話。
古代ローマ帝国
古代ローマは、紀元前27年より共和政から帝政へと移行しました。
395年、テオドシウス1世の2人の息子による帝国の分担統治がはじまり、東西に分裂するまでの間、地中海地域のほぼすべてを支配していた国家です。
その長い統治の歴史から、ヨーロッパ全域にさまざまな影響を与え、それらは現在までかたちを変えながら、伝統や風習となって受け継がれていることが想像できます。
「帝国とはこういったものだ」というイメージも、もとをたどれば古代ローマに通じているわけです。
そのことからも、創作に登場する『帝国』の姿は、ほぼすべて「ローマ帝国からなんらかの影響を受けている」と考えていいでしょう。
戦や衰退、滅亡といった大きな部分から、官僚制度などの細かい部分まで、流用できるものをアレンジするなどして、作品に取り入れているのです。
古代ローマ帝国の特徴
特徴のひとつに、まずその領土の広さが挙げられますね。
現在のように安定した移動方法や、道路が整っていたわけではありません。
端から端まで4,000km以上あった帝国内では、仮に辺境でなにか事件があっても、ローマにその情報が届けられるのは、急いでもひと月以上かかることになります。
そういった状況では、皇帝一人で領土全域を統治することなど、まず不可能です。
作品に登場させる帝国や皇帝の存在を「強大なもの」と印象づけようとするために、一人の皇帝に広大な支配領域を与え、それだけで大帝国として設定してしまう、ということはよく起こります。
そこに裏づけがなにもなければ、説得力に欠けてしまいますよね。
ではどうするか。
専門家を派遣せよ
統治のおよばない、広大な領土を抱えてしまった大帝国。
あなたが、そこの皇帝になったとしましょう。
そういったゲームをプレイすると考えてみると、想像しやすいでしょうか。
皇帝として、国民に守ってもらいたい新しい決まりごとを発信しても、まともに浸透しません。
やはり一番の問題は、広すぎることです。
- 大きな事件などに繋がらなくても、人が集まれば必ず揉めごとが起きます。
- 帝国の端には国境があります。侵略などの懸念があるため油断はできません。
- 海を越えたところにある領土も、無視はできません。
こういった展開を攻略するために、状況に合わせた対策が必要となります。
そこで必要となるのが、地方の政治と軍事を担当する者の派遣です。
本国
ローマ帝国の本国はイタリアで、もちろん皇帝自身が治めることになります。
ここは皇帝のカリスマ性が一番発揮されるところでしょう。
本国で影響力がなければ、そのほかの地域がまともに統治できるとは考えられないですね。
元老院属州
帝国内で治安のよい地域には、軍団は常駐させなくてもいいでしょう。
軍団を優先的に派遣すべき場所は、ほかにあるはずです。
元老院議員のなかから選ばれた「総督」を派遣しましょう。
軍団の常駐がないため、基本的にこの総督は軍事司令官にはなりません。
そのため、危機を乗り越えるその場の判断力といった能力よりも、堅実さや公平さが求められる立場だと考えることもできます。
逆に、野心のある感情的な人物を派遣してしまうと、裏切りや勝手な統治など、よからぬことを考えて問題を起こしてしまう危険もあります。
皇帝属州
国境に近い地域は、どうしても軍事的緊張が高くなります。
侵略などを防ぐための軍団を常駐させるべきでしょう。
ここでは「総督」が指揮を執り、戦を行う場合もあります。
緊急事態に使いものにならなければ意味がないため、戦上手などの能力を優先し、騎士が総督になることもあります。
皇帝私領
エジプトは皇帝の私領でした。
こういった地域では、皇帝の代官となる「長官」が政治を行うことになります。
私領ですので、税収は皇帝個人の財布を膨らませることになります。
金にだらしない人物などを派遣してしまうと、問題を起こしそうですよね。
逆に、厳しすぎる人物を派遣した場合は、どうでしょうか。
皇帝の懐具合はよくなったとしても、民の不満は強くなるでしょう。
暴動などの火種となってしまう可能性も、頭の隅に入れておく必要があります。
結論:【国家】作品に帝国を出すなら知っておきたい:古代ローマ帝国【基本情報】まとめ
同じ帝国内でも、治安の良し悪しなどの状況に差があるため、統治方法にも違いが生じるのが自然なことだ、ということがわかります。
創作では、あえて問題を起こしそうな人物を配置することで、そこに物語を生むことができます。
国のかたちはさまざまです。
それを少しずつでも知っていくことで、作品内の国にも特色が生まれ、幅や深みが出てくるはずです。
それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)