順天堂大学・医学部教授、小林弘幸さんによる著書を読みました。
昨年母親から渡された本から、ミヒャエル・エンデ著の『モモ』に続き二冊目。
というわけで今回は
「人生で一番役に立つ「言い方」:小林弘幸」についてのお話。
自律神経を整える
自律神経ってなんでしょう?
そう問われると、ひと言で答えるのはなかなか難しいものです。
端的に言うと
「本人の意識とはべつに生命活動を維持している調整係」
といったイメージでしょうか。
この本で一貫して書かれているのは
「自律神経が乱れると血流が悪くなるのでパフォーマンス下がる」ということ。
よくも悪くも、外的な影響を受けやすいもののようですね。
余談ですが、私は学生時代、授業中に気を失ったことがあります。
気を失いかけているときは気分の悪さと、徐々に狭まっていく視界に異変を感じつつ
「ああ、こんな感じで死んでいくのかな」と、案外冷静に客観視していました。その後、視界は暗転。
友人に揺り起こされたときには、教室の冷たい床に頬をつけて倒れていました。
その後母に連れられて病院に行きましたが「自律神経失調"気味"」との診断。
頻繁に襲われる「偏頭痛」にも、影響がないわけではないようです。
睡眠や消化器系の働きにも影響があるようなので、健康と密接に関わっていることがわかります。
言い方と自律神経
話を戻しましょう。
本書を読み進めていくと
「言い方を変えると、相手の自律神経を乱すか整えるかが変化する」
という話が続きます。
相手の自律神経を乱さないための言葉選びをしましょう、というお話ですね。
このあたりは、案外私はできていました。
自分の発言で場の雰囲気が悪くなることが、私は嫌いです。
行き先々で愚痴や陰口を撒き散らす人がいますが、あれはよくないなと思うのです。
外でのいざこざは、帰り道で捨てて帰ります。家にも持って帰りたくありません。
そういう考えがあって、口から言葉を出す前に一度考えるようにしているので、相手に対しては自律神経を乱さない発言が、わりとできているように思います。
この本の内容で特に実感したのは怒りの伝え方の項目。
伝える目的=「相手の心を動かし、行動に移させて、結果を出す」という考え方です。
以前の記事でも、そのことについて書いていました。
相手に「改善してもらいたいこと」がある場合、伝える前に「なにが目的なのか」をきちんと決めておくことが大切です。
怒りをぶつけるのでも、現状を責めるのでもなく、まず現在の困っている状況を伝えます。
そして、そこからうまく誘導します。
最終的に「実際に改善に繋がるような行動に移してもらう」ことだけを目的とします。
その目的を達成するためには、それ以外のことにはこだわらないようにするわけです。
すると、おのずと言い方が変わります。
「過ちを認めさせる、わからせる」ことが目的になると、責める口調で攻撃的になってしまうものです。非を認めないタイプの人は、どこにでもいますしね。
怒りを伝えたところで、実際に改善がなされなければ、お互いにとってなにもいいことはありません。
たとえ改善すべき点が確実に相手にあるとしても、相手が受け入れないかぎり「悪印象を与えて」終わり。
自分も完璧じゃない。相手も完璧じゃない。
そういうスタンスで生きたほうが、追求するよりも実は気が楽だったりします。
カッとしたときほど、ひと呼吸置いて「目的以外のことはどうでもいい」くらいの捉え方をするといいのかもしれませんね。
乱される自律神経
私が自律神経を乱しやすいのは「自分が言われる側」の場合ですね。
「言い方」は本当に大事だと思います。
悪意はなかったとしても、思いやりのない言い方になっている人は少なくありません。
「悪気はなかった」=「なかったのは相手への配慮」です。
相手に対して常に否定的で、高圧的だったり嫌味っぽい物言いの人にも、心あたりがあります。
この本には、どのように「受け止め方、捉え方を変える」べきなのか、ということが書かれています。
結局は、そうすることでしか対処のしようがないのですよね。
よくいわれることですが、対人関係において相手を変えることはできません。
私の場合は、なんとかそういった問題から抜け出したくて、対処方法を模索してきたところがあります。
怒りを抱えこんで家に帰ると、つい愚痴を言ってしまいがちです。
話を聞いた相手は一緒になって怒ってくれるわけですが、なんとなく雰囲気も悪くなるし、なにより生産的じゃないんですよね。
「生産的じゃない」というのはつまり、創作活動にも悪影響です。
ストレスばらまきの悪影響については、以前の記事にも書きました。
対処を考えるうちに、次第に口撃をすり抜けるすべを身につけていっている感はあります。
そうやって自分で気づいて対処してきたところは多々ありますが、いままさに悩んでいる方にとっては、本書に書かれていることは眼を開かせる内容となっているはずです。
私も「自律神経の働きでパフォーマンスに影響が出る」という意識はこれまでもっていなかったので、よい学びの機会となりました。
創作への活かし方
実生活でも当然役に立つ「言い方」ですが、創作においても「さまざまな言い方」や「捉え方」を考えることは重要です。
同じシーンでも表現や伝え方で印象が大きく変わるものです。
「別の言い方で同じシーンが描けないか」と考えてみることは、シナリオを書くうえでも非常に大切なことなのです。
同じことを言っているようで、ちょっとした伝え方の違いによって、相手に与える印象がよかったり、悪かったりするわけですから「言い方」を自在にあつかうことができれば、より効果的な「台詞」を書くこともできるはずですよね。
その入口としても「言い方」の基本を学ぶきっかけとなる一冊だと思います。
気になった方は、ぜひ手にとってみてください。
それでは今回はこのへんで!
最後まで読んでくださってありがとうございます(´ω`)